メンバー紹介

統括班

代表
鈴木 道生(東京大学大学院 農学生命科学研究科)生命科学班代表
奥村 大河(早稲田大学 教育・総合科学学術院)物質科学班代表
豊福 高志(国立研究開発法人海洋研究開発機構 超先端研究開発部門)生態科学班代表
西田 梢(東京科学大学 環境・社会理工学院 融合理工学系)環境科学班代表

生命科学班

  • 代表鈴木 道生

    東京大学大学院
    農学生命科学研究科
    教授

    軟体動物の石灰化において有機-無機相互作用の分子メカニズムを明らかにして、生体反応のどの領域でプロトンが放出されるか明らかにする。

  • 竹内 猛

    一般社団法人 日本真珠振興会
    主席研究員

    二枚貝の外套膜についてシングルセルRNA-seqを行い、貝殻形成細胞特異的に働く遺伝子を同定する。遺伝子の時空間的発現パターンの解析や、遺伝子ノックダウン技術などをもちいた機能解析を行う。

  • 井口 亮

    国立研究開発法人産業技術総合研究所 ネイチャーポジティブ技術実装研究センター 研究チーム長

    サンゴの石灰化に関与する遺伝子は様々な種類が存在しますが、生活史のタイミングの違いや昼と夜でも石灰化の性質は異なる可能性があり、類似の遺伝子でも異なる発現パターンを示す場合があります。本プロジェクトでは遺伝子解析を通じて、サンゴの石灰化の多様な生き様について迫っていきたいと思います。

  • 佐藤 圭

    金沢大学
    国際基幹教育院
    講師

    軟体動物の貝殻を主たる研究対象とし、形態形質の分岐パターンを推定したり、形態形質を制御する環境要因や遺伝的メカニズムを解明することで、軟体動物の多様性はなぜもたらされたか?という疑問に答えるべく研究に取り組んでいます。本プロジェクトでは軟体動物における石灰化プロセスの遺伝的メカニズムの解明に取り組みます。

  • 加藤 由悟

    東京大学大学院
    農学生命科学研究科
    助教

    環境から隔離された密閉容器中で石灰化生物の飼育を行い、水相・気相における物質収支を測定できる装置を開発する。装置内では石灰化を行う軟体動物や単細胞生物を飼育し、モニタリング測定とサンプリング測定を行う。

  • 相馬 明郎

    大阪公立大学大学院
    工学研究科
    教授

    生体の実験の結果から石灰化生物の物質循環における数理モデルを新たに構築し、石灰化が炭素固定に貢献するか否かを明らかにする研究を進める。

  • 飯島 真理子

    国立研究開発法人産業技術総合研究所 ネイチャーポジティブ技術実装研究センター 研究員

    サンゴの石灰化は地球的規模・地域的規模の環境変化に鋭敏に応答します。後者では栄養塩負荷による影響が長らく議論されており、私は特にリンに着目したサンゴ石灰化阻害について研究してきました。本プロジェクトではサンゴ石灰化とリンとの関係を深堀りしていきたいと思います。

物質科学班

  • 代表奥村 大河

    早稲田大学
    教育・総合科学学術院
    准教授

    地球表層に存在する物質の構造やその形成機構をナノレベルで調べ、ボトムアップでマクロな現象を理解することを目指しています。本プロジェクトでは、バイオミネラルが無機的に形成された鉱物とどのように異なった特徴を持つかを明らかにし、バイオミネラリゼーションを素過程に分解することを目指します。

  • 山崎 智也

    北海道大学 低温科学研究所
    准教授

    結晶化に興味があり、その過程を顕微鏡で可視化して理解することに取り組んでいます。特に、環境セル(溶液セル)透過電子顕微鏡法による溶液からの結晶化の観察に取り組んでいます。本プロジェクトでは炭酸塩が形成する瞬間を透過電子顕微鏡で捉えることに挑戦し、その観察を基に炭酸塩の形成過程を有機分子の役割に着目しながら考えていきたいです。

  • 川野 潤

    北海道大学 理学研究院
    准教授

    鉱物・結晶の成長や構造変化のメカニズムについての研究をしています。本プロジェクトでは、結晶と有機分子の相互作用を計算機シミュレーションにより理論的に評価するとともに、炭酸塩鉱物が無機的に形成/溶解する際の局所的なpHやイオン濃度の変化をイメージングし、生態科学班の結果と比較することで、バイオミネラル形成における生物の役割を明らかにすることを目指します。

  • 荒木 優希

    金沢大学 理工研究域
    助教

    界面科学、結晶成長を専門とし、高分解AFMを用いてさまざまな天然鉱物や材料表面のその場観察を行なっています。本プロジェクトでは、結晶形成の初期段階において有機物がバイオミネラルの成長ダイナミクスに与える影響を可視化することを目指します。

生態科学班

  • 代表豊福 高志

    国立研究開発法人海洋研究開発機(JAMSTEC) 超先端研究開発部門 主任研究員

    班の統括、石灰化生物のラボ飼育観察、pH、Caイメージング。班の統括を担いながら、サンゴや有孔虫など石灰化生物のラボ飼育・観察を担当します。pHやCa顕微イメージングなどのリアルタイム観察を通じて、殻形成プロセスの可視化と解析を進めます。

  • 安元 剛

    北里大学 海洋生命科学部
    准教授

    サンゴのpHイメージングとボックス試験を担当します。生体ポリアミンが関わる石灰化機構を提唱し、サンゴの稚サンゴを育てて観察したり、共焦点レーザー顕微鏡でpH上昇を可視化します。石灰化反応が地球の炭素循環において果たしている役割について明らかにします。

  • 甕 聡子

    山形大学 理学部
    助教

    バイオミネラル(硬組織)の微細組織観察をベースに石灰化過程を明らかにしていきます。主に、天然の造礁サンゴ骨格試料のほか飼育実験から得た骨格を研究対象としています。本プロジェクトでは生体―硬組織の関係性を明らかにできるよう、観察手法の検討に取り組みます。

  • 千徳 明日香

    琉球大学 理学部
    准教授

    サンゴや腕足動物の飼育実験を通じて、骨格の成長量の測定や微細構造の観察を行いながら、これらの生物がどのように石灰化を行っているのかをマクロからミクロのスケールで明らかにすることを目的としています。殻や骨格の形成過程を生体内で可視化する技術を用い、生体組織と硬組織の関係性を多角的に解析することで、多様な石灰化戦略の比較研究を進めています。

  • 長井 裕季子

    国立研究開発法人海洋研究開発機関(JAMSTEC) 超先端研究開発部門 准研究員

    単細胞生物である有孔虫の飼育を行いながら、殻形成やその生態の解明の研究を行っています。有孔虫の殻形成においては殻形成部位の細胞と硬組織の同時微細観察手法を確立し、その構造をマルチスケールに観察・研究しています。本プロジェクトにおいては有孔虫やその他石灰化生物の飼育観察、殻形成部位の細胞と硬組織の同時微細構造観察、pH Caイメージングを通して、様々な生物の石灰化戦略を明らかにして行きます。

  • 渡邊 晃一

    福島大学 人間発達文化学類
    教授

    STEAM(Science,Technology,Engineering,Arts,Mathematics)を基盤に、バイオミネラルの形態を把握分析を行うとともに、科学者、技術者の思考とアーティスト、デザイナーの思考を組み合わせることにより、革新的なアプローチを生じさせる研究を重なっていきたい。

  • 佐々木 猛智

    東京大学 総合研究博物館
    准教授

    貝類のバイオミネラル微細構造をナノスケールで観察・比較し、X線回折やラマン分光法で機能と適応を解析するマクロ形態解析と立体再構築を担当します。また、MXCTで3D化を進め、貝類や他生物の形態解析を展開していきます。

環境科学班

  • 代表西田 梢

    東京科学大学
    環境・社会理工学院 融合理工学系
    准教授

    「骨格分析で描く生物の炭酸塩形成における物質循環像」をテーマとした環境科学班の統括担当です。専門は同位体地球科学・古生物学で、炭酸塩の安定同位体分析(クランプトアイソトープ、炭素同位体比、酸素同位体比)を駆使して炭酸塩生物における炭素収支や石灰化機構の解読を目指します。

  • 田中 健太郎

    東京都市大学 理工学部
    准教授

    専門は地球化学です。生物起源の炭酸塩を対象に微量元素濃度と同位体比などを分析し、バイオミネラリゼーションに関連した元素の動態を明らかにする手法の開発を目指します。

  • 浅沼 尚

    京都大学 人間・環境学研究科
    講師

    質量分析技術を駆使することで、バイオミネラリゼーションにおける元素の空間及び化学形態情報の計測に努めます。化学・生態学・環境学を統合するための基礎データの取得を担っていきたいです。

  • 窪田 薫

    国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC) 地域地震火山部門 研究員

    専門は生物源炭酸カルシウムの微量元素・同位体を用いた古環境復元です。とりわけ、ホウ素同位体分析に重点を置いて研究を進めてきました。同指標を石灰化母液の炭酸系を明らかにするためのツールとして用い、各モデル生物のバイオミネラリゼーションの実態を明らかにしたいと考えています。

  • 有賀 智子

    国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター
    主任研究員

    誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた同位体比分析や元素定量分析の高度化に取り組んでいます。本プロジェクトでは軟体生物の貝殻や、生体内を模した反応系においてin vitroで合成された炭酸カルシウム結晶中のSrおよびCa安定同位体比を検出することにより、有機基質によるバイオミネラリゼーション制御機構の解明を試みます。